毛髪診断コンソーシアムとは?理化学研究所の設立目的と研究内容を調査

2017年12月27日に、理化学研究所が毛髪による健康計測や疾患診断を行う「毛髪診断コンソーシアム」の設立を発表しました。アデランスやヤフーなどの合計18の企業や研究機関が参画します。「毛髪診断コンソーシアム」設立の目的や、内容について調査してみました。

毛髪診断コンソーシアムとは

毛髪診断コンソーシアムは、理化学研究所が設立したオープンイノベーションのプラットフォームです。理化学研究所が単体で研究を行うのではなく、様々な公的機関や民間企業と共同研究という形で、研究を進めていく団体です。

 

18もの機関・企業が参加

毛髪診断コンソーシアムには、公的機関や民間企業合わせて18団体が参画しています。

参加する団体は以下の通りです。(14団体を確認)

  1. 国立研究開発法人 理化学研究所
  2. 株式会社オーガンテクノロジーズ
  3. 株式会社アデランス
  4. ヤフー株式会社
  5. 株式会社アジュバンコスメジャパン
  6. 京セラ株式会社
  7. 株式会社コンピュータ技研
  8. 株式会社島津製作所
  9. ダイキン工業株式会社
  10. NECソリューションイノベータ株式会社
  11. 三井物産株式会社
  12. 株式会社アジュバンコスメティック
  13. 株式会社アデランスメディカルリサーチ
  14. 京セラオプテック株式会社

幹事となる企業は、2~4のオーガンテクノロジーズ、アデランス、ヤフーの3社です。この3社が毛髪診断コンソーシアムというオープンイノベーションで培ったものを事業化を目指す予定です。

 

発毛や増毛を目的とした研究ではない

名前だけを聞き、アデランスなどが参加していることを見ると、発毛促進や、育毛・増毛に関する研究かと感じます。しかし、実際には、毛髪診断コンソーシアムは、発毛や増毛などの薄毛の問題を研究するわけではありません。

毛髪の断面図と髪の毛の生え方のメカニズム

 

毛髪を通した健康診断が目的

毛髪診断コンソーシアムは、次世代の非侵襲的診断法のオープンイノベーションです。髪の毛を使い健康状態、病気の状況を判断できることが目的となる共同研究を行います。従来の検査は、体内をチェックしたり、血液検査や胃カメラなど、患者にとって負担が大きいものばかりです。

血液検査で採血を行っている様子

しかし、髪の毛であれば、抜くだけなので、患者の負担は非常に小さいです。毛根が不要であれば、ハサミなどでカットでOKなので、痛みはありません。この非侵襲的診断法であれば、患者の負担を減らせることはもちろん、髪の毛の状態確認によって、医師の手を介さずにチェックができます。医療費が増大しているなかで、事前に低コストで、健康状態・病気の有無を確認できるのは非常に有益です。

 

毛髪診断コンソーシアムの実施内容

毛髪診断コンソーシアムというオープンイノベーションでは、以下の実施を掲げています。

  • 2年間かけて1万人分の健康情報と毛髪を集めてデータベースを作成
  • 毛髪の画像診断アプリの開発

1万人分の健康状態と毛髪のデータを収集することで、毛髪から判断できる新たな健康指標や、新しい疾病マーカーを発見することが目標に掲げられています。恐らくそこで培った知見・ナレッジをもとに、毛髪の画像診断アプリの開発を進めると推測されます。

 

終わりに

2017年12月27日に理化学研究所がオープンイノベーション「毛髪診断コンソーシアム」を発表しました。一見、髪の毛の問題に取り組む研究のように聞こえますが、そうではありません。毛髪から健康状態を測定し、病気の兆候を見つけ出すのを目的とした共同研究です。そのため、発毛や増毛が目的の研究ではありませんでした。しかし、1万人のデータが集まることで、研究のなかで頭髪の薄毛に関する新たな発見もあるかもしれません。一流の研究機関、大企業が集まることで、髪の毛を通した健康測定はもちろん、薄毛治療の発展が進むことが期待されます。

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